GPX-NスタッフコラムVol.1「アメリカ人が越境ECに挑戦!(前編)」

GPX-Nでは様々なプロダクトのEC構築・運用をサポートしてますが、担当するスタッフの“現場の声”をお届けするスタッフコラムをシリーズでお届けします。

 

第1弾は「越境EC」をご紹介します。日本にいながら海外に販売市場を広げる「越境EC」は、デジタル技術の発展で誰でも始めることができますが、様々なノウハウや知見を得ないと、なかなか成功に結び付かず、落とし穴や回り道があることも事実です。

 

そこで、ぺブルコーポレーションの製品、非接触型自動検温装置「サーモゲート零」の越境ECを担当するディエゴに自身の経験を語ってもらいました。

 

 

データ分析からマーケティングへ、可能性を信じて新しい領域にチャレンジ

こんにちは! Hernandez Dustin Diego(ヘルナンデス・ダスティン・ディエゴ)、アメリカのテキサス州ヒューストン出身なのに関西弁でしゃべる31歳です。2020年、ぺブルコーポレーションに入社し、入社直後はデータ分析チームに配属されました。その後、データ分析力をマーケティングに活かすべく、2021年から越境ECチームへ。マーケティング&サービス部に所属し、リサーチや企画書作成、広告出稿まで幅広く担当しています。

みなさんは、「越境EC」っていう言葉は聞いたことありますか? 越境ECとは、Webサイトで行う国際電子商取引(electoronic commerce)のことをいいます。またぺブルコーポレーションでは、国内の倉庫から海外へ発送するものに加え、現地の倉庫から出荷するものも含めて越境ECと呼んでいます。

 

社内で越境ECのプロジェクトがスタートしたのは2021年。主力商品の1つである非接触型自動検温装置「サーモゲート零」を海外に向けて販売することになりました。今後はジャンルを広げて扱う商材を増やしていく予定です。

 

マーケティングに携わるのははじめてだったので、当初は少し緊張していました。ただ、他のチームメンバーが経験者ばかりなので「わからないことは聞けばいい」と不安はありませんでした。それよりも心配だったのは「非接触型自動検温装置という世界的にも新しい商材をわかってもらえるのだろうか?」ということ。「非接触型自動検温装置って、いったい何ですか?」と、そもそも知らない人が多い商材なので、販売準備しながら「本当に売れるだろうか?」とドキドキしていました。

 

社内初の越境ECプロジェクトスタート、国内ECとの違いに戸惑う日々

 

販売開始に先立ち、最初に行ったのはマーケティングリサーチです。最初の大きな気づきは、販売価格の重要性。日本と物価が近い国でないと、こちらの想定価格ではなかなか売れないことがわかりました。価格のプランニングは越境ECではとても大事な要素です。

 

その次に行ったのは、ECサイトの立ち上げです。この時にサイト構成・設計が大事であることを学びました。非接触型自動検温装置という新商品かつ世界ではあまり類を見ない製品だったために、サイトデザインと構成のお手本がなく大変苦労をしました。プロデューサーやデザイナーとああでもないこうでもないと、トライアンドエラーを繰り返したのは良い思い出です。

 

また、日本のECサイトでは「約款」「プライバシーポリシー」など、サイトにあるべき約束ごとはいくつかありますが、アメリカ向け、ヨーロッパ向けのECサイトでは、日本以上にいろいろ無くてはならないものがあることも気付きでした。一例として、「製品マニュアルに使われているインクや紙の材質を明記」が必要です。こういったノウハウもいくつかあります。

 

広告運用・データ分析も行いました。最初アメリカに広告を出したのですが、CPC(クリック単価)がとても高いので、他の国に出してみようということになり、インド、アルゼンチン、インドネシア、シンガポールにも出稿してみました。

 

そこで苦労したのは検索キーワードや広告コピーです。アメリカの場合は、例えばティッシュを売るならば「クリネックス」など、競合の会社をキーワードに入れると効果的なのですが、例えばインドの場合「健康(Health)」などの検索キーワードでクリックされたり、販売につながったりします。国が変わると広告も変わるのはデータ分析をしながら学んだことです。

 

SNSにもお国柄。そして向き不向きがある。トライアンドエラーが必要

 

広告以外にもサイトへ流入を増やすために、特に注力して行ったことの一つがSNSです。SNSの活用は日本以上に重要です。ただし、注力すべきSNSは国ごとに異なります。なぜなら、同じように施策を打っても反応が国ごとにまったく違うからです。Facebookの登録者数は日本よりアメリカのほうが圧倒的に多いですし、TiKToKのユーザーは日本では若年層が多いですが、アメリカではライブ配信を利用したビジネス利用が広がっています。ですから製品や国によって、最適なSNSプラットフォームを考える必要があります。

 

私たちが運用してみてわかったことが2つあります。1つは、商材によってSNSを選択すべきだということ。ブランドとしてファンを作っていくものなのか、そうではないのかを見極めることが重要です。もう1つは、ライブ配信による購買や来店の促進を行うライブコマース(Live Commerce)が重要度を増しつつあるということです。これについては、私たちも現在進行形でチャレンジしているところです。

 

LP、広告、SNSさまざまな場所にタッチポイントを作ったが売れない…

 

サーモゲート零」の販売でも一通りの施策は打ちました。ただ、商材が特殊なせいか、なかなか思ったような成果が出ず苦戦しました。

 

あれこれ試した結果、たどりついたのがAmazonビジネスです。これが大きな転換点となりました。Amazonビジネスに出店するようになってから売れ始めたのです。「サーモゲート零」は法人向けの商品なので、このプラットフォームが最適だったのでしょう。物価水準が近いアメリカに販売先を絞ったのも功を奏しました。

 

販売方法としては、現地にパートナー企業を作って実店舗で販売する方法もあります。しかし、オンラインを利用するほうがはるかに簡便でスピーディです。また、自社サイトで販売するよりも現地のモールを利用するほうが新しい商品を売るには適していると判断しました。「サーモゲート零」のようにブランド認知度やファンよりもターゲット層に効率よくリーチすることが重要な商材は、人がたくさん集まるモールに出店するのが一番効果的です。Amazonビジネスは世界中に展開する完成度の高いプラットフォームですから、これを利用しない手はありませんでした。

 

悪戦苦闘しながらも、いよいよAmazonという製品に合った主戦場を見つけることができました。

 

次回の後編では最適なプラットフォームではあるものの、日本のビジネス流儀とは異なるAmazonでのPRの工夫やコツを語ってもらいます。

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