GPX-NスタッフコラムVol.1「アメリカ人が越境ECに挑戦!(後編)」

回「越境EC」にトライする上でサイト構築、データ分析、SNS、広告で悪戦苦闘しながらも、最適なプラットフォームにたどり着くまでを越境EC担当ディエゴに語ってもらいました。今回は続きのお話を語ってもらいましょう。

 

大事なのは国内ECと海外EC、2つの別サイトを運営するという姿

 

どんなに最適なプラットフォームでも運用次第で成果が大きく変わります。大事なのは、同じ商品でも日本と海外でまったく違うサイトを2つ運用しているという姿勢で取り組むこと。日本のECから言語を英語に変えるだけでは海外では通用しません。さまざまなポイントをクリアしないとなかなか売れるようにはならないのです。

 

日本と海外のECでは、画像1つとってもアピールポイントがまったく違います。たとえば、海外では画像内の人物の目線はユーザーと目が合うように、常にこちらを向いています。理由は、視線が合わない=信用できないと思われてしまうからです。しかし、日本のユーザーは目が合うと緊張してしまうのでしょうか、ECのバナー等で人物の視線がユーザーのほうを向いていることはほぼありません。

 

翻訳も注意が必要です。Google翻訳を利用している人は多いと思いますが、Google翻訳はネイティブ目線で見るとかなり違和感があります。日本語もそうですが、言語にはさまざまなニュアンスがあって、ネイティブだけが推し量れる言外の感情があります。単語的には問題なくても、文化的にはNGになってしまう表現も少なくありません。ですから、アプリを使って翻訳した後は、一度ネイティブスタッフにチェックしてもらうことをおすすめします。

 

商慣習の違いも気をつけたいポイントです。アメリカには、現地に銀行口座を開設する、商標を取るなど政府が定める取引ルールがあります。すぐECサイトがオープンできるとは限らないので、時間的な余裕を持って準備を進めましょう。

 

購買者心理を押さえておくことも大事です。たとえば、アメリカ人はポイントよりもクーポン好きです! 今すぐお得になるものを置いておくと購買率がアップします。自分でも不思議ですが、目の前に5%OFFのクーポンがあったら、使ってすぐに何か買ってしまいます。アメリカ人に訴求するなら“今すぐお得”がポイント(笑)。また、ECサイトでも実店舗でもいつでも必ずSALEのコーナーがあります。こうした文化を知っておくことも大事ですね。

 

また、アメリカには「Back to School」のようなキーワードフレーズがあるのですが、商品が非接触型自動検温装置ですので、「Back-to-Office Sale」というキャンペーンを打ったところ、凄く強い反応がありました。その国にしかないトレンドやキーワードもあるので、しっかりとリサーチしておきましょう。

 

ECサイトでは、顧客との接点はWebサイトだけ。ですから、しっかり顧客にアピールできるサイトを構築することが非常に重要です。

 

社会変革が起こっているいまが越境ECを始める大きなチャンス!

 

はじめて越境ECに取り組んでみて、大きな気づきと学びがありました。まず、ひとことでECといってもいろいろな種類があり、商材によってどのプラットフォームで戦うべきか見極める必要があること。ファンを作って売るもの、リピートされやすいもの、ブランド価値への共感が購買につながるものなど、商材の特性に合った方法を選ばないとうまく販売できません。

 

価格設定も重要で、こちらの希望価格で販売できるところを探すか、もしくは相手国の物価水準に合わせたプランニングをすることが非常に重要です。ただ流行っているからというだけで飛びついてしまうと、なかなか成果が出ないと思います。

 

同じ広告を使いまわせないことも大きな学びでした。同じ内容の広告でも、A媒体に出稿するのか、B媒体に出稿するかで、表現や構成を変えなければ成果が出ません。Google、Facebook、Amazonなど、それぞれユーザーの訪問目的が違うので内容も目的に合わせないとターゲットユーザーにまったく刺さらない無駄な広告を作ってしまいます。たとえば、Googleのユーザーは商品を探して検索しているので、最初に商品説明をしっかりする必要があります。Amazonユーザーはすでに欲しい商品が決まっている人なので、商品説明よりも他商品と比較したときのその商品の優位性が重要です。

 

こうした知見を手に入れて、いまではマーケットリサーチや運用について自信を持ってできるようになりました。お客様に喜んでいただけるこの仕事がとても楽しいので、今後もこの道を極めていきたいと思います。

 

さて、これから越境ECをやってみたいと思っている方へ。最初から100%を目指すのではなく、試行錯誤を楽しみながらチャレンジしてください。私自身、実際にさまざまなことを試してトライ&エラーを繰り返しながら成果を出してきました。越境EC には取り組むべき課題がたくさんあるので、成果を出すのは簡単ではありませんが、決して不可能ではありません。あきらめずに自分にチャレンジしながら続けていけば必ず成果は出るはずです。うまく回りはじめるまでの過程を、ぜひ楽しんでください。コロナ禍で世界が大きく変わりつつあるこのときが始めるチャンスです!

 

また、これまでお話してきましたように、ECサイトはBtoCが基本となりますが、販売アイテムのPRを行いつつ、現地の代理店などに販売チャネル(BtoBtoC)を広げることも可能です。英語ネイティブのスタッフである私も現地法人とダイレクトに交渉するお手伝いができます。ぜひお気軽にご相談をいただければと思います。

 

 ■今回の担当者コラムのプロフィール

Hernandez Dustin Diego(ヘルナンデス・ダスティン・ディエゴ)アメリカのテキサス州ヒューストン出身なのに関西弁でしゃべる31歳です。2020年、ぺブルコーポレーションに入社し、入社直後はデータ分析チームに配属されました。その後、データ分析力をマーケティングに活かすべく、2021年から越境ECチームへ。マーケティング&サービス部に所属し、リサーチや企画書作成、広告出稿まで幅広く担当しています。

 

GPX-Nでは「越境EC」に関して、これらの挑戦や失敗の経験・知見を活かして、コンサルティング事業を展開しています。各国のビジネスの流儀、また商品購買に結び付くサイト設計、デザインと構成、広告・SNS運用などのノウハウをスタッフが持っています。すべてお任せいただくことも可能ですし、一部分でもお手伝いをいたします。どうぞお気軽にご相談ください。

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