ECサイトの成功事例に学ぶデザイン戦略

 

コロナ禍での生活様式の変化により、巣ごもり需要で伸びたEC市場ですが、成功しているサイトもあれば、そうでないサイトもあります。ネットユーザーの目に留まり、自社サイトに導き、購入してもらう。この流れを作るためには、さまざまなアイデアや戦略が必要となります。

 

今回は実際に売り上げアップに成功したECサイトの実例を紹介しながら、お客様を呼び込み、購買行動につなげるサイトデザインのポイントについてご説明します。

ポイント①:広告戦略×トップデザインの修正

■当初の広告戦略を見直し

 

今回もコロナ関連の検査キットを販売しているMedic LABの事例を見ていきます。

 

前回の記事で、当時取り扱っていた商品は「抗原」と「抗体」検査キットのみだったが、市場認知度は圧倒的に「PCR検査」の方が高かったため、リスティング広告で「PCR検査」というキーワードを追加したことについてご紹介しました。

■トップバナーのキャッチコピーを変更

 

しかし、ここで一つの問題点に直面します。消費者の視点や心理を推測すると、「PCR検査」で検索する人はPCR検査キットが欲しいのであって、抗原・抗体検査キットを求めてきているわけではありません。PCR検査キットが欲しい人に、どうやって自社商品を訴求するのか。ここで、サイトデザインを変えることにしたのです。

 

トップバナーのキャッチコピーを「約10分で判定。無症状感染リスク対策に!!」から「PCRよりお手軽!返送不要、約10分で判定」に変更しました。こうすることで、PCR検査目当てで検索してサイトに入ってきた人が「PCRよりお手軽なんだ?こっちの方が安くて楽だな」と思って立ち止まってもらえるようになったのです。

■「広告戦略」と「サイトデザインの連携」の大切さ

 

この事例が訴える重要なポイントは、ECサイトはサイトを作れば終わりではないということです。消費者の心理や状況分析に基づいて、広告マーケティングとサイトデザインを連動させた戦略を取る。こうすることで、流入数(ページに訪れる人数)がアップし、購入率も確保できました。

 

ECサイトで重要なのは、どうやってサイトに訪れる人数を増やし、訪れた人の中から買ってくれる人の割合を増やすかということです。これを速いスピードで、デザインチームと広告戦略チームが連携を取りながら一緒に進めていく。ECサイトの勝ちパターンを見つけるまでの間は、これがとても重要になります。

ポイント②:市場ニーズにあわせた「利便性」

■法人顧客のニーズ

 

次の成功ポイントとしては、市場ニーズに合わせて利便性を高めた点が挙げられます。Medic LABでは当初から、個人だけでなく、法人もターゲットとして想定していました。コロナ禍にも拘わらず、出勤や出張をせざるを得ない企業や工場などの法人のまとめ買いニーズを想定し、サイト開始時から検査キットのセット販売も行っていました。

 

実際にサイトで売ってみると、想定した通りに法人からの発注がたくさんありましたが、新たな問い合わせもありました。その一つが「請求書発行の後払いにできないか?」というものです。法人がECサイトで購入する場合、法人用のクレジットカードがあればいいのですが、ない場合は社内での決裁や稟議などいろいろな手続きが生じ、時間がかかってしまいます。Medic LABでは、こうした法人顧客の声を聞いて、請求書発行の後払いにも対応できるようにサイトの構成・デザインを変更しました。

■消費者から選ばれるポイント「利便性」

 

供給過多な現代社会においては「消費者から選ばれるポイントは何か?」ということが商材の力として必要になってきます。競合と比較した際の「強み」を徹底的に考えて提供することも大切ですが、その強みの一つとして「利便性」を提供することも売りになるのではないでしょうか。

ポイント③:顧客導線のデザイン


■「導線」と「動線」

 

ECサイトは、ただ作って置いておけば、自動的に売れるようなイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、それでは売上に繋がりません。

 
そこで、ブランディングや画像を含めたデザインにこだわる方は多いと思いますが、実は売上をアップさせるためには、実店舗と同様に「導線」が非常に大切な要素となります。
さて、「どうせん」という言葉には「導線」と「動線」の2種類があります。
「導線」…サイトを訪問したユーザーをゴールまで導く手順
「動線」…ユーザーがサイトをどのように動いたのかという足跡(提供者側としては、ユーザーのデータから分析するもの)

 
Medic LABのサイトでは、この「導線」と「動線」を活用して成功した事例もあるのでご紹介します。

■「動線」データを元に「導線」で誘導

 

ヒートマップを活用してユーザーのサイト内の動きを解析したところ、「抗体検査」と「抗原検査」の詳細ページへ進むバナーの前で迷っている人が多いことがわかりました。そこで「抗原?抗体?迷ったらこちら」というバナーをサイトTOPのすぐ下に追加。どのような場合にどちらの検査キットを購入すべきかを説明したページに誘導しました。

 
すると、それぞれの検査の重要性を理解して商品を購入する人が増え、更にセット購入をするユーザーも増えたため購入単価も上がりました。

■導線設計と徹底的な消費者目線

 

インターネットの世界では、消費者が少しでも「めんどくさい」と思ったらすぐに別の店に行ってしまうことがよくあります。ですから、サイト内でユーザーに体験してほしい購買行動を導くような発想を持つことが非常に大事で、しっかりした導線を作ることと徹底的な消費者目線を持ち続けることで売上は大きく変わってきます。

 
どうして誘導バナーを設置したのか。これは「動線」に関するデータ分析が大きなポイントとなっています。
次回は「データ分析」から見えてきた課題をサイトへと反映させ、売上をアップさせたポイントをご紹介します。

▼次回コラムはこちら!

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